2012年10月1日月曜日

医学的な「丁度良い、頃合、適度、適当、中道、中庸、moderate 」

 コレステロール値は、40年ぐらい前の大衆の認識としては総コレステロール値のみが問題にされ、高ければ循環器系の病気になり易いので低ければ低いほど良いとされていた。20年ぐらい前になると、大衆の認識が変わり、善玉コレステロールと悪玉コレステロールとがあり、悪玉コレステロールをどんどん減らして、善玉コレステロールをどんどん増やすのが良いとされるようになった。現在の大衆の認識は更に変わりつつあり、悪玉コレステロール(LDL;低密度リポ蛋白質)も体には一定量必要であるとの認識が芽生えてきた。要するに、どの成分の値も高すぎても低すぎてもダメで中庸がよいということである。
 血中尿酸値については、過去数十年、高いことは痛風の原因であり悪 いこととされていた。尿酸値が低ければ低いほど痛風にかかり難くて良いとされていた。しかし最近の研究で、尿酸は抗酸化作用が強く老化防止健康維持に効く らしいことが解って来た。尿酸を減らしすぎてはならない。要するに中庸が良いのである。
 肥満についても、数十年以上前の昔から健康に悪いと言われてきた。高齢者の肥満は短命とされてきた。痩せている人は長生きとされてきた。しかし最近数年の研究によると、少し肥満している高齢者の方が長生きすることが判って来た。要するに、過度な肥満は良くないが、適度に太っているのは良いことなのである。
 血糖値については高いとダメと言われていたが、インシュリン投与で血糖値低下を起こして体調不良となり酷い場合は死亡となることが判り、血糖値も中庸が良いということが判った。
 飲酒については、過去から良く研究されており、過度の飲酒は勿論健康に悪いが、「酒は百薬の長」の言葉が古くからあるとおり、適度のアルコール補給は健康に良いことが解っている。
 もともと、多くても少なくてもダメということは、論語の昔より「過ぎたるは及ばざるが如し」と言い伝えられていた。このように、中庸が良いということは昔から解っている真理なのに、どうして最近まで、コレステロールについての知恵が回らなかったのか? どうして尿酸値についての知恵が回らなかったのか? どうして肥満についての知恵がまわらなかったのか? 
 それは多分、人間は「なるべく単純に考えたい」という本能的思考回路になっているからだろう。「頃合、適度、適当、中道、中庸、moderate」などという概念は解り難い。「あれはダメ」「これはダメ」という単純で解り易い概念を、人間は好むのであろう。「高コレステロールはダメ」「高尿酸値はダメ」「肥満はダメ」ということである。それを言い換えると「低コレステロールは良い」「尿酸少ないのは良い」「痩せていれば良い」ということ。この単一方向性が単純性故に好まれることになる。
 さて、昔も今も人間に好まれている単純な命題は、「死んだらダメ」「長生きは良い」。はたして本当かな?

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