2012年12月29日土曜日

北朝鮮金正恩と日本の幕府

 北朝鮮は軍事独裁政権と云われる。ところで、日本の歴史を改めて見直してみると、軍事力即ち武力で一国を統治することは昔から多く行われている。平安時代は貴族による統治だった。その後、武士即ち軍人が出てきて、その軍人が日本を統治する時代が長い年月続いた。鎌倉幕府、室町幕府、江戸幕府などは、皆「軍事独裁政権」であったといえる。天皇が国家元首でありながら、軍人が世襲で実際の政治を担当していたのである。
 しかし、成立当初は軍事力で政治的実権を握った各幕府も、時が経つにつれて性質が少しずつ変化してくる。鎌倉幕府は源頼朝が軍事力で実権を握ったのであるが、三代目将軍の源実朝になると、和歌を作る「歌人」として有名を馳せる。室町幕府は足利尊氏が軍事力で実権を握ったが、三代目将軍足利義満は金閣寺を建立したりして北山文化と呼ばれる豊かな文化を花開かせた。江戸幕府は徳川家康が軍事力で実権を握ったが、三代目将軍の徳川家光は、非常に豪華な日光東照宮を建立し、また「大奥文化」を花開かせた。
 これらの歴史的事実を踏まえて、軍事独裁政権の三代目「将軍」金正恩を考える時、彼も三代目として何か文化的な実績を上げてくれる可能性が高い。戦争志向をやめて、三代目らしく文化の向上に勤しんでほしいものだ。
 北朝鮮の法律では、国家に必要とされる使用目的で国家が使用するならば著作権のあるものを自由に使用できるということになっている。この法律自身は、(運用の程度問題はともかく)基本的には国際法と大きな齟齬は無い。だから、国家プロジェクトとして、ディズニーランドとユニバーサルスタジオとジブリのスタジオとを全てパクって一緒にし、キャラクターを集合させ混合した大レジャーランドを作って、国内海外の人々を招いて楽しませたらどうだろう。合法的で魅力的な文化的活動となるだろう。

2012年12月5日水曜日

並行輸入合法化をグローバルスタンダードに

従来、商標に関する並行輸入を禁止する理由として、「国内」での広告宣伝努力による効果を挙げるのが一般的である。しかし、この効果は、現在ではどんどん縮小している。尤も、広告宣伝そのものの影響力は、時代を経てどんどん大きなものになってきている。しかし、「国内特有の」という条件が付くと、縮小減少している。グローバル化が進み、また情報化が飛躍的に進んで来ている現代では、一般需要者はインターネットからの膨大な情報を得る。このインターネットの情報は、国内、国外を問わない。宣伝広告が日本語であっても、それが国内からの情報であるとは限らない。夥しい量の国外からの情報が日本語で配信されている。あるいは、日本語を含むマルチランゲッジとして配信されている。日本のような言語に閉鎖的な国でもこのような事態である。ましてや、英語にアレルギーの無い日本以外の非常に多くの国では、国内情報と国外情報との障壁は殆ど無い。情報に関して完全に国境フリーである。このような国々では、「国内で宣伝活動を地道に行ったから独自の国内価値を発生する」などという主張は、全く説得力が無い。日本もどんどんその状況に近づいている。国際的なブランドは「世界統一ブランド」として、その価値があるのであって、或る国に特有の突出した価値が生ずるということは、現在の世界情勢では消えつつある。このような現状を踏まえ、各国政府は「並行輸入は基本的に合法」という明確なスタンスを取るべきである。並行輸入を制限するという政府の規制は、世の中のグローバル化に逆らう時代錯誤の措置であることを、当該国政府は認識すべきである。並行輸入合法化をグローバルスタンダードにし、各国政府は並行輸入が合法であるという明確な意思表示をするべきである。