知的財産戦略本部のパブリックコメント募集に応じ、下記意見を提出しました。
意見:
《要旨》
知的財産推進計画2013について、ACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)が他国、特に欧州で不調に終わったことを素直に認めて総括していただきたい。総括した内容を公開し、今後の改善案を検討していただきたい。
《全文》
知的財産推進計画2013について、意見を述べます。ACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)は2012年に欧州議会で完全否決されました。提案国の日本は、先進国の足並みを揃えて新興国にも加入を迫ろうとしていたのですか、計画が初期段階で頓挫した格好となってしまいました。欧州に限らず他の署名国でも不調です。この純然たる事実を、知的財産推進計画関係者に素直な気持ちになって認めていただきたく思います。日本がACTA推進において頼りにしていた米国でも同様な偽物取り締まり手法の法律であるSOPAやPIPAの頓挫がありました。現在の知的財産に関する世界の現状は、もはや知的財産権利者の手拍子に乗ったイケイケドンドンの時代ではないことを、お互いにしっかりと認識しなければならないと思います。「知的財産権が膨れ上がり過ぎて、その権利行使をしようとすると善良な一般人の社会生活を脅かすことになる」ということをしっかり認識すべきかと思います。従来から技術や文化の発展のみをミクロに考えて「推進推進」と旗を振る政策中心で今まで数十年やってきたのですが、今や、人間の知る権利、個人のプライバシー、国家の統制力の限度など社会全体のバランスがどこにあるのかを先ず考慮してから知的財産政策を策定する必要があります。こういう「全体バランスを考えなければならない」という謙虚な総括をしたいただきたく希望します。そして、その総括内容を公開してください。そして、それを踏まえたうえで、今後の改善案を検討してください。真摯に振り返り、オープンにすることで、国民の支持も得られることになると思います。また、知的財産関係の人間が主になって考えるのではなく、多面的な人材で考えることにより、更に政策がローバストなものになると思います。今回は、昨年に挫折を経験したことで、却って、パラダイムを変える機会としては非常に良い年となるかもしれません。どうぞよろしくお願い申し上げます。
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